公開: 2022-10-16
トリフィンのジレンマ
基軸通貨発行国は、基軸通貨の国際流動性を維持するために国際収支(経常収支)赤字を続けなければならない。そうなると、基軸通貨の価値の面で信頼性が低下せざるを得ない。一方、信頼性を維持するために基軸通貨国が国際流動性を縮小すれば、国際貿易と資本の流れに悪影響を及ぼし、やはりその基軸通貨に対する信頼を低下させざるを得ない。基軸通貨国がこのようなジレンマに陥るという内容が「トリフィンのジレンマ」である。1960年代、米国で数年間経常収支赤字が続くと、この状態がいつまで続くのか、米国が経常黒字に転じたら誰が国際流動性を供給するのかという問題が提起された。当時、米国のイェール大学教授だったロバート・トリフィンは米議会演説で、「米国が経常赤字を容認せず国際流動性の供給を停止すれば、世界経済は大きく縮小するだろう」と述べ、「しかし赤字状態が続き米ドルが過剰供給されれば、ドルの価値が下落して準備資産としての信頼性が低下し、固定相場制が崩壊するだろう」と証言した。