タレブの4象限

平凡の王国(Mediocristan)
変化は多いが、極端な変化は全くない。例えば、いくらカロリー摂取量を増やしても極端な体重の変化は起こらない。せいぜい100kgを超えるのが関の山で、500kgにもなるようなことは絶対に発生しない。ひと言でいえば、非常に大きな偏差が発生することは不可能に近い。正規分布曲線を描く。
極端の王国(Extremist)
変化はほとんどないが、一度発生すると途方もなく大きい。例えば小説の販売部数は上位0,1%が半分以上を占める。それまでは収益がほとんどないが、ある閾値を超えると変化が極端に発生するのである。現代資本主義の個人資産分布も極端の王国に属する。発生する可能性は極めて少ないが、その些細な可能性がすべてを圧倒する。だからこそ過去のデータに基づく予測は不可能である。
| M0 “真/偽” | M1期待値 |
|---|---|
| 患者個人に対する医療決定(流行病ではない健康) | 伝染病(多くの人が感染する) |
| 心理実験(はい/いいえ形式の回答) | 知的、芸術的成功(書籍の販売や引用などで定義される) |
| 生/死(n人ではなく1人) | 気候効果(特定の量) |
| ルーレットにおける対称的な賭け | 戦争被害(死傷者数) |
| 予測市場 | 安全保障、テロ、自然災害(犠牲者数) |
| 財政:レバレッジなしの投資実績(例えば退職口座) | |
| 保険(予想損失の尺度) | |
| 経済(政策) | |
| カジノ |
4象限をどう活用すべきか?
ナシム・タレブは4象限から3象限へ移動することを勧めている。しかし仕方なく4象限に晒されたり、ポジティブ・ブラックスワンに晒されるために自ら4象限に入らなければならない時があるだろう。この時はナシムは以下のような指針に従うことを勧める。
バーベル戦略を使う
平凡の王国に属する仕事と、極端の王国に属する仕事を混ぜて行う。この時の比率は9:1である。これによりリスクを最小化しながら、肯定的な結果をもたらすポジティブ・ブラックスワンに晒すことができる。
伝統と大自然を尊重せよ
リンディ効果(Lindy effect)を覚えておけ。長く生き残ったものはより強靭である。新しい規則や方法論を持ち込むなら、その立証責任は提案する側にある。しかし複雑系ではその波及力を立証することはできない。だからこそブラックスワンの前に選択の余地がないなら、古い方法に戻れ。
最適化を避け、冗長性で保険を作れ
分散投資、資源の蓄積で危機に対応せよ。たとえブラックスワンが近づいても、分散された資産の一つが生き残るか、冗長に蓄積された資源を消耗しながら耐え抜くことができる。
予測するな
ブラックスワンを絶対に予測しようとするな。人間は予測機械であるため、本能的に予測しようとする。その本能を抑えよ。無限の未知数が目の前に広がっていると無理にでも考えよ。